上田まさひこ議員が代表質問を実施
○議員(上田雅彦)登壇 明石維新の会、上田雅彦でございます。発言通告に従いまして、1項目、令和5年度決算について順次質問をさせていただきます。
このたびの令和5年度決算は、明石市政の1年間の成果を数字として表した重要な資料でありまして、今後の施策展開の方向性を探る上で重要な指針となるものであり、また、特に令和5年度の決算は、コロナ禍からの回復が進む一方で、物価高騰やエネルギー価格の上昇、少子高齢化の進展など様々な社会的、経済的な課題に直面しながらも、いかにして本市の財政運営を進めてきたかが問われるものであると考えております。
今回の決算におきましては、市税や地方交付税の増加が歳入の大きな要因となっており、特に市税収入が大きく伸びたことは、地域経済の活性化に寄与したことを示す重要な指標と捉えております。一方で、歳出面では人件費の減少が注目されるポイントであります。具体的には、定年年齢の段階的引上げに伴う退職手当の減少や、人事院勧告による給与改定の影響が大きく反映されている点につきまして、今後の人事計画や労務管理にどのように生かしていくのかが問われるべき点だと考察いたします。また、扶助費の増加も非常に重要なテーマであると思います。物価高騰への対応として、低所得者層に向けた給付金事業が実施され、その結果として扶助費が対前年度比で45億円増加した点は、市民の生活を守るために不可欠な政策であったことは理解しております。しかし、将来的に扶助費の拡大が財政を圧迫しないよう、持続可能な財政運営が求められることも忘れてはなりません。特に高齢化社会におきまして、今後ますます扶助費の需要が増加することが予想される中で、いかにして効果的な施策を打ち出しつつ、財政の健全化を図っていくかが重要な課題であります。さらに、公債費に関しましても、決算において公債費は市の将来の財政負担を示す重要な指標の1つです。市の借入金の返済に充てられる公債費がどの程度減少したのか、またその背景にはどのような要因があったのか、今後の本市の財政運営において持続可能な債務管理がどのように行われていくべきかについても、深く考慮する必要があります。
これらの点を踏まえ、私は今回、令和5年度決算を振り返り、本市の財政運営が今後どのように変化し、また市民の皆様にどのような形で還元されるべきであるかについて、お伺いしたいと思っております。特に、現在の財政状況が短期的なものにとどまらず、将来的な本市の発展につながるものとなるよう、持続可能で安定した財政運営を実現するための施策を検討する必要があると考えます。今後の施策におきまして、市民の皆様が安心して暮らせる環境を提供するため、教育、福祉、そして子育て支援、また地域の活性化に重点を置いた予算の組み方が求められることは言うまでもございません。しかし、それを実現するためには、限られた財源を効率的かつ効果的に活用することが肝要であり、そのための適切な財政計画が策定されなければなりません。
以上の観点から、本日の一般質問におきましては、令和5年度決算の結果を踏まえつつ、本市の将来を見据えたビジョンを模索できればと考えております。特に、市民の皆様に対するサービスの向上と財政の健全化を両立させるためにはどのような施策が必要であるのか。また、現時点で見えている課題にどのように対処していくべきかを明確にしていくことが求められています。本市はこれまで数々の先進的な施策を打ち出し、全国的にも注目される自治体として発展してきました。しかし、今後の社会的な変動や経済的な不確実性を考慮する中で、柔軟かつ持続可能な財政運営を行っていかなくてはなりません。そこで、以下5点につきまして質問をさせていただきます。
まずは1点目、歳入と歳出についてお聞きいたします。歳入の増加は市税の16億5,000万円の増、また法人税等の地方交付税の13億3,000万円の増などの要因を上げられておりますが、このことについて今後も持続可能なものと考えていらっしゃるのでしょうか。また、もし今後、国税収入が減少した場合、本市にどのような影響があり、どのように対応していくのでしょうか、お聞かせください。また、地方交付税の増加、臨財債の減少で歳入が上下することを考慮いたしますと、歳入の安定性というものに若干の不安が残りますが、ほかの財源とどうバランスを取って財政を安定させていくのでしょうか。お考えをお聞かせください。
続きまして、経常収支比率改善についてであります。経常収支比率は令和5年度については92.5%と、令和になってから、令和3年度に続き2番目の低い数字ですが、兵庫県下の平均値や類似団体の平均値をやはり上回っておりまして、決して楽観視はできない状態であると考えます。この数字を今後、いかに維持していくか、もしくはさらに改善していく計画はおありでしょうか。そのお考えをお聞かせください。
3点目に、義務的経費の増加と柔軟性についてであります。まずは、人件費につきましては、対前年比5億7,000万円の減となっておりますが、これは主に人事院勧告による給料等2億2,000万円の引上げがあった一方で、定年年齢の60歳から65歳まで2年に1歳ずつ段階的引上げに伴う退職手当に当たる7億7,000万円の減があったことに起因しているとのことですが、逆の見方からいたしますと、今後も職員給料等は年々右肩上がりが予測されますし、退職手当も2年ごとに加算されてくるということでございます。これを鑑みた場合、退職手当の累積負担は本市の財政にとって大きなリスクだと考えます。特に定年延長による一時的な退職手当の減少は歓迎すべき一方で、今後、退職者が集中する年度に財政が一気に圧迫される可能性が懸念されます。本市として、退職金積立基金の充実や将来を見越した資金確保策をさらに進めていく必要があると考察いたします。長期的な財政計画の中で、こういった負担を分散させる仕組みを早急に検討し、リスクヘッジしておくべきではないでしょうか。また、職員給料が右肩上がりで増加することは、今後の人件費が継続的に増加するリスクをはらんでおりまして、市の財政に大きな影響を与えます。本市としまして、その影響を精査し、中長期的に備えるべきだと考えます。以上の点についてのお考えをお聞かせください。
続きまして、扶助費につきましては475億円で対前年度比45億円の増、前年比プラス10.5%となっております。扶助費は社会的に重要な支出でありながら、財政を圧迫する要因でもございます。このことが財政に与える長期的なリスクをどのように認識しているのでしょうか。また、扶助費の増加を効率的に改善していくための具体的なお考えはあるのでしょうか。お聞かせください。また、扶助費の中には国費の物価高騰対応給付金も含まれており、この点については短期的には本市の財政に対して負担を軽減できていると思いますが、この給付金は一時的なものと考えるべきで、長期的には本市が同様の支援を実施しなければならない可能性もあります。そこで、本市としまして、扶助費全体の適正化やほかの支援策とのバランスを考えなければならないと考察いたします。物価上昇への対応として、単発の給付に頼らずとも、より持続可能な支援の在り方を考えるべきではないでしょうか。扶助費が今後どの程度増加するかを見越した上で、そのお考えをお聞かせください。
3点目の3つ目は公債費についてであります。公債費は対前年比8,000万円の減少で、長期債元金償還の減少などによる一時的な要因によるものですが、ほかの事業に充てられる資金の余裕が生じるため、ポジティブな要素ではあります。市役所本庁舎建て替えや新ごみ処理施設整備などの新事業は、本市にとって重要な投資であり、これらを進めるためには、ある程度の負担が避けられないことも理解しております。しかし、新たな借入れによる公債費の増加は、将来世代に財政負担を残すことになり、財政の持続可能性が懸念されます。そこで、新たな借入れに頼るだけではなく、基金設立やほかの財源確保や事業の見直しなどの抜本的な施策が必要になってくると考えます。以上、公債費についていかがお考えでしょうか。お聞かせください。
続きまして、4点目の質問、決算からひもとく義務的経費の適正化及び新しい施策についてです。例えば、扶助費に焦点を当てて話をすれば、先ほどの物価高騰対応給付金のような単発の給付ではなく、低所得者の自立を促すための持続可能な就労支援策や経済的な自己防衛策を支援するプログラムや、生活保護受給に至る前の、いわゆるセーフティーネットとしての予防策等の導入を検討してもよいのではと考えますが、いかがでしょうか。また、扶助費増加の抑制を図るとするならば、しかもその中で市民に提供される福祉サービスの低下をさせることは当然避けなければなりませんが、様々なことが考えられると思います。これは、福祉局だけの問題ではありませんが、例えば組織改革であったり、人員の効率的な配置や、この秋からこども局でスタートさせる自治体LINEを活用した、いわゆる給付金の受取りなど、福祉のデジタルIT化を通じて業務の効率化を図ることによって、抜本的な改善にもつながるのではと考察いたしますが、その点についてもお聞かせください。
5番目、最後に、今後の本市にとっての成長ベクトルについてであります。確かに本市は近年、子育て政策という成長エンジンとも言える施策により人口も増え、歳入も増え、中核市にも昇格し、実際に豊かになってきております。しかし、その一方で、このまま子育て政策だけでよいのかという市民の声も私の耳によく聞こえてまいります。私は、決して子育て政策を否定するものではございません。教育やインフラ整備も含めたほかの分野、この分野については全くやっていないとは申しませんが、ほかの分野にも中長期的に見て、本市の成長ベクトルを転換していくタイミングが、そろそろやってきているのではないでしょうか。
私は、今後の本市にとって、子育て政策によって増えた子供たちのこれからの教育にフォーカスしていくべきだと考察しております。不登校問題や、ほかにも教育現場に対応したテーマは山積しております。また、本市経済を活性化させるためにも、やはり産業振興施策も大切なファクターだと考察いたしますが、そこで市長のお考えをぜひともお聞かせください。このたびの令和5年度の決算書は、丸谷市政にとって初めての決算書であり、また、言い換えれば初めての通知表であると言えます。その点も含めて、丸谷市長のお考えをお聞かせください。
以上、御答弁よろしくお願いいたします。
○議長(辰巳浩司) 丸谷市長。
○市長(丸谷聡子)登壇 上田議員の御質問の1項目め、令和5年度決算について、まず私から令和5年度決算の総括と、5点目の中長期的に目指す本市のこれからの成長ベクトルについてお答えをいたします。
令和5年度一般会計決算については、市税収入の増加などにより実質収支で約7億円の黒字、また実質単年度収支でも約3,000万円ではありますが2年ぶりの黒字となりました。また、基金残高は前年度とほぼ同額の119億円となり、市債残高も前年度から25億円減少しています。さらに、各財政指標についても健全な状態を維持しており、将来にわたる財政の持続可能性をしっかりと確保したところでございます。
次に、5点目の中長期的に目指す本市のこれからの成長ベクトルについてですが、これまで本市ではこどもを核としたまちづくり、誰にもやさしいまちづくりを重点的に推進してきたことで、子育てしやすいまち、住みやすいまちとして評価され、子育て世代を中心に転入超過により11年連続で人口が増加しています。この人口が増加したことで、平成30年4月には中核市となるなど、市としての基盤が強化され、様々な施策を効果的に実施できる環境が整ってきたものと考えております。
こうしたまちづくりを持続可能なものとするため、あかしSDGs推進計画(明石市第6次長期総合計画)においては、目指すまちの姿をSDGs未来安心都市・明石、いつまでもすべての人にやさしいまちをみんなでと定めています。また、この目指すまちの姿の実現に向けて、あかしSDGs前期戦略計画では、施策展開の5つの柱に基づき、優先的に取り組む施策を位置づけ、まちづくりを推進することとしています。
議員御発言のこれからの教育の取組としては、子供の育ちをまちのみんなで支えるという柱を掲げ、一人一人に応じた質の高い教育の推進と、子供の状況に応じた適切な支援に取り組むこととしています。私は、子供たちが生きる力を育み、未来に夢が持てるよう教育環境を整えることや多様な学びを保障していくことは、子供たちの育ちにおいて大変重要なことであると考えています。そこで、今年度予算においては、人口増加に伴い必要となる教室や放課後児童クラブの施設整備に取り組むとともに、今年度で全ての小中学校のエレベーターの整備が完了することから、今後、新たな学校施設の整備についても検討していきたいと考えております。また、不登校対策として、学校内の居場所である校内フリースペースを小学校で新たに7校整備したほか、学校・家庭以外の第三の居場所として、市内2か所目となる公設民営のこどもの居場所を新たに開設するなど、ハード・ソフト両面から子供たちの教育環境の充実に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
次に、産業振興の施策としては、まちの魅力を高め、活力と交流を生み出すという柱の下、今年度は地域経済と環境の取組をより推進できるよう、新たに環境産業局を設置いたしました。そして、地域産業の振興を図るため、チャレンジ・スタートアップ事業者支援補助金として、新商品開発や販路の拡大等に取り組むために必要となる経費の助成と、新たなビジネスチャンスの創出を支援するためのオンラインビジネスマッチングを開始しています。また、事業所の脱炭素化を推進するため、既存事業所のZEB化や再生可能エネルギー設備等の導入支援も行っています。今後は、地域の活性化や働く場の確保など、まちの持続可能性を高めるためにも、さらなる地域経済と環境の好循環を目指して取組を推進していきます。なお、こうしたまちづくりを推進するに当たっては、市民との対話を通じ、多様化・複雑化している市民ニーズや地域課題の把握に努め、産官学民の多様な主体との共創により、全ての市民が支え合い、安心して暮らすことのできる、もっとやさしいまちあかしを実現していきたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
○議長(辰巳浩司) 岸川財務部長。
○財務部長(岸川暢之)登壇 財務部長でございます。
御質問の1項目め、令和5年度決算についての1点目から3点目の各論についてお答えいたします。
まず、1点目の歳入と歳出についてでございますが、令和5年度の一般会計決算につきましては、歳入で市税や地方交付税の増加などによりまして、令和4年度から約27億円増加した一方、歳出では扶助費や投資的経費の増加などによりまして約26億7,000万円の増加となっております。歳入の増加要因の1つであります市税につきましては、約16億5,000万円増加しておりますが、これは一部法人の業績が好調であったことにより、法人市民税が約6億7,000万円増加したことや、賃金の上昇に伴う給与所得の増などにより、個人市民税が約5億1,000万円増加したことによるものでございます。また、地方交付税の増加につきましては、地方交付税の原資となる法人税など国税収入の増加に伴い、普通交付税が約13億2,000万円増加したことによるものでございますが、一方で、国税収入が不足する際の振替財源であります臨時財政対策債は約12億1,000万円減少しております。地方交付税は地方公共団体が標準的な水準の行政を行うために必要な財源を保障する制度でありますが、その原資となる国税が不足する場合にあっても、臨時財政対策債への振替えで財源措置されるため、今後も安定的な地方財政運営を行うために必要な一般財源は保障されるものと認識しております。
次に、2点目の経常収支比率についてでございますが、経常収支比率は市税や地方交付税などの経常的な一般財源がどの程度経常的な経費に充てられているかを示す指標でございまして、数値が高いほど財政構造が硬直化して弾力性がないことを表すものでございます。本市の令和5年度決算における経常収支比率は92.5%となり、前年度の94.1%から1.6ポイント改善しております。これは、退職手当の減があった一方で、私立保育所等の運営経費や障害福祉事業費など扶助費の増により、計算上の分子である経常経費充当一般財源が1%増加したものの、市税の増などにより、計算上の分母である経常一般財源総額が2.8%増加したことによるものでございます。経常収支比率の維持・改善につきましては、今後も社会保障関係経費である扶助費の増加が見込まれる中ではございますが、内部経費等の節減といった取組を継続していくとともに、市税のさらなる増収につながる取組を進めることにより、今後とも経常収支比率が過度に上昇することがないよう努めてまいりたいと考えております。
3点目の義務的経費の増加と柔軟性についてでございますが、まず人件費につきましては、令和5年度以降、定年年齢を60歳から2年に1歳ずつ引き上げる段階的引上げに伴い、2年に1度、定年退職者が生じず、退職手当の支給額が年度間で大幅に増減することとなります。また、今後想定される総人件費の増加に対しましては、退職手当の負担がなくなる年度に市債の発行を抑制することなどによりまして、後年度の公債費負担を低減させ、市の歳出全体として負担の平準化を図ってまいりたいと考えております。
また、扶助費につきましては、令和5年度の決算額は、前年度から約45億円増加して約475億円となり、歳出総額に占める割合は37%となっております。今後につきましても、私立保育所等の運営経費や障害福祉事業費などを中心に増加するものと見込まれるため、各施策について必要性や効率性をしっかりと確認していく必要があると考えております。一方で、こうした事業は地方自治体が社会保障制度の一環として、各種法令に基づいて実施しているものが多く、これら扶助費の増加は国の地方財政計画に適切に反映され、地方交付税として相当の財源保障がなされるものと認識しております。
最後に、公債費につきましては、令和5年度決算で約116億円でございますが、土地開発公社の清算に伴う第三セクター等改革推進債の償還が令和5年度で終了することなどによりまして、令和6年度当初予算では約103億円と約13億円減少しております。一方で、市役所本庁舎や新ごみ処理場の施設の整備などにより、公債費負担は徐々に高まることが見込まれるため、今後とも投資的経費の財源として市債を充当する場合には、できる限り交付税措置率の高い有利な市債を活用することなどにより、実質的な公債費負担を抑制することで、持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
○議長(辰巳浩司) 多田福祉局長。
○福祉局長(多田宏明)登壇 福祉局長でございます。
私からは御質問1項目め、令和5年度決算についての4点目、決算からひもとく義務的経費の適正化及び新しい施策についてお答えいたします。
令和5年度の決算額における扶助費約475億円のうち、生活保護費は2割弱に当たる約88億円となっており、そのうち約5割を医療に要する費用である医療扶助が占めていることから、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進や診療内容の点検など、適正な運用に向けた取組を推進しております。1世帯当たりの生活保護費については、昨年度はやや増加したものの、ここ数年は減少していることから、これらの取組が扶助費の適正化に寄与しているものと認識しております。また、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれがある方を対象とした生活困窮者自立支援制度では、担当である生活福祉課において、年間約300件の相談を受け付け、一人一人の課題に応じたきめ細やかな支援を展開しております。とりわけ、継続した安定的な生活を送る上で欠くことができない就労につきましては、生活福祉課が入る北庁舎1階にハローワークの出先機関を設置し、生活保護受給者も対象とした就労支援を行っており、早期の就労や定着支援につなげているところでございます。さらに、求職活動に課題を抱え、即座に就労することが難しい方には、就労セミナーや技能習得講座の開催を通じて、基礎的なビジネススキルの定着を支援する就労準備支援事業を実施しており、就労体験を通じた一般就労へのステップアップを目指し、自立した生活の実現を後押ししております。そのほか、家賃相当額を支給する住居確保給付金の支給をはじめとした個別の経済支援を行うなど、生活困窮者自立支援制度が生活保護に至る前のセーフティーネットとして機能を果たしているものと考えております。引き続き、経済的に厳しい世帯への生活保障は、既存制度の適切な運用により確保していくとともに、多様化する社会課題を的確に捉え、扶助費の適正化による効果を市民の安定した暮らしにつなげられるか見極めてまいりたいと考えております。
続いて、今後の新たな施策を考える上で、デジタル化による行政運営は欠かせないものと認識をしております。行政手続のオンライン化をはじめとしたDXの推進は、多様な市民ニーズに対応し、業務の効率化が期待されることから、全庁的な取組を推進しております。取組の一例として、昨年7月に実施をいたしました物価高騰に対応する非課税世帯向けの給付金給付事業におきましては、対象者に申請書を送付し、返送を受け付け、審査業務を経て給付する従来の形を取っておりましたが、その後、12月以降に実施をいたしました同様の給付事業では、お送りする申請書に記した二次元コードをスマートフォン等で読み取る電子申請方式を導入し、返送にかかる郵便代の削減や審査業務の削減に伴う委託料の圧縮につなげております。業務委託や審査内容が簡易である業務については、デジタル手続の仕組みが効果を発揮するものと考えておりますので、議員御紹介の自治体公式LINEを活用した行政手続の導入をはじめ、市民の利便性向上と業務効率化に資する取組を推進してまいります。引き続き扶助費の適正化を通じて、市民の福祉向上につながる取組に力を入れてまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願いいたします。
○議長(辰巳浩司) 上田議員。
○議員(上田雅彦) 御答弁いただきましたので、順次再質問をさせていただきます。
まず、経常収支比率につきまして、市税収入の増加が経常収支比率の改善に寄与したとされましたが、今後も市税が増え続ける保障はどこにもないと思います。景気のリセッション、人口減少などにより市税が減少する可能性もあり得ます。その場合、どのような策を講じて経常収支比率の維持を図られるお考えでしょうか。お聞かせください。
○議長(辰巳浩司) 岸川財務部長。
○財務部長(岸川暢之) 財務部長でございます。
経常収支比率の御質問でございますが、経常収支比率の維持におきましては、人口あるいは市税は重要な要素の1つであるというふうに認識しておるところでございます。本市におきましては、長期的なまちづくり計画でございますSDGs推進計画がございますけれども、こちらにあります選ばれるまちとしての重点的な施策に取り組んでいくことにより、目標人口を達成できるように、あるいは少しでも近づけるように取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。加えまして、自然環境、あるいは産業も含めて多面的に取り組んでいくことによりまして、まちの活力あるいは魅力の向上につなげていきまして、ひいては市税、地方交付税などの経常的な歳入につなげていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(辰巳浩司) 上田議員。
○議員(上田雅彦) 同じ経常収支比率につきましてですけれども、内部経費の削減を継続するとのことですが、既に実施されている策にも限界があるのではないかと考察いたします。今後、さらなる経費削減が困難な場合、財政健全化の施策をどのように検討されているのでしょうか。お聞かせください。
○議長(辰巳浩司) 岸川財務部長。
○財務部長(岸川暢之) 財務部長でございます。
議員再度の御質問にお答えいたします。今後の財政健全化の取組についての御質問でございますが、これまでは10年間の財政健全化推進計画の取組による人件費の削減、あるいはその事務事業の見直しに加えまして、市税、地方交付税などの歳入の確保によりまして、収支均衡の財政運営を行ってきたところでございます。
この7月に財政白書の素案とともに、今後10年間の財政収支見込みをお示ししたところでございますけれども、こちらでは今後の財政運営の大きな方向性といたしましては、これまでの財政健全化の視点も踏まえつつ、財政規律を保った健全な財政運営を維持していこうといったところを掲げているものでございます。
具体例といたしましては、これまでの健全化の取組を継続していくことはもちろんのことなんですけれども、広告料収入、あるいはその個人、企業版ふるさと納税などの歳入の確保を図っていくといったことに加えまして、民間提案制度等、歳入歳出の適正化につながるような取組も進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(辰巳浩司) 上田議員。
○議員(上田雅彦) 御答弁いただきました。人口を維持するだけではなく、今後も人口が増加していくための取組、また民間提案制度という取組ですね、これは市長のおっしゃる産官学民の取組にも通じると思いますので、すごく期待の持てる力強いワードをいただきましたので、この取組に期待いたします。
続きまして、人件費についてですが、人件費の増加が今後も予測される中で、定年退職者の2年置きに左右される退職手当の増減に加え、給与改定や定年延長によるコストの増加が長期的に財政に与える影響は非常に大きいと考えます。そのためにどういう見込みをもって、どういった対策を講じていくのか、お聞かせください。
○議長(辰巳浩司) 岸川財務部長。
○財務部長(岸川暢之) 財務部長でございます。
議員再度の御質問にお答えいたします。人件費に係る財政的な影響をという趣旨の御質問なので、私のほうからお答えさせていただきます。
国の人事院勧告などによります給与改定、あるいは先ほど御説明いたしました定年延長に係る行政コストにつきましては、地方交付税の基準財政需要額のほうに一定財源措置がなされているところでございます。加えまして、給与改定におきましては、一般的には民間の給与水準の上昇を加味して行われるものでございますので、これはひいては民間所得の増、あるいはその市税収入の増につながっているといったことを考慮しますと、トータル的に見ますと、市の財政運営にそこまで大きな影響はないのかなというふうに考えておるところでございます。今後につきましても、国の動向を注視しながら、財政運営に支障のないよう努めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(辰巳浩司) 上田議員。
○議員(上田雅彦) 今の御説明にありましたけれども、例えば民間の給与水準の上昇が市税収入の増加につながるということでありますけれども、今後、景気変動や民間企業の業績低迷によって市税収入が減少する場合は、その影響をどのように軽減する方針でしょうか。お聞かせください。
○議長(辰巳浩司) 岸川財務部長。
○財務部長(岸川暢之) 財務部長でございます。
市税収入の減による影響でございますけれども、一般的には市税収入が減少した場合は、基準財政需要額の中の基準財政収入額のほうの減少につながるといったことから、ある一定のレベルまでは地方交付税で措置されるというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(辰巳浩司) 上田議員。
○議員(上田雅彦) 続きまして、扶助費についてでございますが、地方交付税として財源保障がなされるものと回答いただきましたが、地方交付税は確かに一定の財源保障の役割を果たしていると認識しておりますが、将来にわたり地方交付税が本市に措置されるのか、そのことについてどのような認識でしょうか。また、本市独自の事業について、それを継続していくためには、本市独自の施策の継続について、財源確保や歳出の効率化も講じる必要があると考察いたしますが、いかがでしょうか。お聞かせください。
○議長(辰巳浩司) 岸川財務部長。
○財務部長(岸川暢之) 財務部長でございます。
扶助費と地方交付税、それと市独自の施策の財源についての御質問でございますけれども、扶助費の増加につきましては、先ほどから御説明してますとおり、私立保育所の運営経費、障害福祉費などの増、いわゆる国庫補助事業の増が主な要因となっておるところでございます。こちらの国庫補助事業につきましては、国が特定の政策を推進することを前提に開始されたといったところがございますので、先ほども答弁いたしましたとおり、社会保障制度の一環として、各種法令に基づいているといった性格のものでございますので、今後も地方財政計画のほうにおいて適切に反映されると考えております。したがいまして、地方交付税におきましては、相当の財源保障がなされるという認識でございます。市独自の施策の継続、財源についてでございますが、現在、本市のほうでは市独自の施策について、多く実施しておるところでございますが、おおむねその実施に際しまして、過去からの決算額あるいはその対象者数などの推移を踏まえて、見込まれる財源の範囲内で予算措置しているといった関係上、現時点におきまして施策の継続性に直ちに問題となるような支障が生じることはないかなというふうに考えておるところでございます。
以上でございます。
○議長(辰巳浩司) 上田議員。
○議員(上田雅彦) 相当の財源保障がなされるとのことです。しかとお聞きしましたのでよろしくお願いいたします。
続きまして、公債費についてであります。公債費の抑制として交付税措置率の高い市債を活用することは、短期的には有効だと思います。しかし、それだけに頼ると、今後の増加に対する抜本的な解決にはならないのではないでしょうか。中長期的な財政健全化計画やお考えがあるのでしょうか。また、市債発行に依存し過ぎないための財源確保策などもお考えでしょうか。お聞かせください。
○議長(辰巳浩司) 岸川財務部長。
○財務部長(岸川暢之) 財務部長でございます。
議員再度の御質問にお答えいたします。市債の借入れにつきましては、今後も負担の平準化あるいはその公平性の観点からも必要であると考えておりまして、地方交付税措置率のより高い有利な市債を活用していくなど、実質的な市の負担を減らせるよう取り組んでいきたいというふうに考えております。今後の財政運営の基本的な方向性につきましては、現在策定中の財政白書の財政収支見込み等でお示ししておるところでございますが、一方で、市債の発行に大きく影響する公共施設につきましては、公共施設配置適正化基本計画がございますが、これまでと同様に施設を維持していくといったことはコスト的にも厳しいといった状況がございまして、限られた財源の中で優先順位、あるいはその必要性などを踏まえて取り組む必要があるといったことから、計画につきましてはこういった観点、あるいはその財政収支見込みを踏まえた上で、来年度改定を行っていくという予定でございます。
また、公共施設の整備におきましては、自治体の負担を前提にするだけじゃなくて、先ほど申しましたような民間提案制度、あるいは民間事業者の資金、ノウハウを活用するような取組についても、今後、調査研究していければというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(辰巳浩司) 上田議員。
○議員(上田雅彦) 今、最後のほうで言っていただいた、いわゆる公共施設等の整備、これはPPPであるとかPFIとか、いろんなことも含めてのお考えでしょうか。
○議長(辰巳浩司) 岸川財務部長。
○財務部長(岸川暢之) 財務部長でございます。
議員再度の御質問でございますが、民間事業者の資金あるいはそのノウハウを活用する方法といたしましては、先ほど議員御指摘のような方法があるというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(辰巳浩司) 上田議員。
○議員(上田雅彦) PPP、PFIというのは非常に市民にとっても、本市にとっても、またそれを担う事業者にとっても、三方よしという施策になり得ると思いますので、引き続き推進していっていただければと思います。
最後に、市長にお聞きしたいんですが、先ほどもお話ししましたように、このたびの令和5年度決算書は丸谷市政での初めての決算書であり、初めての通知表であります。この通知表を踏まえまして、市長御自身で例えば点数をつけるとするならば、100点満点で何点をつけられるでしょうか。また、100点でないとした場合、その部分がどのように改善されて100点に近づけていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○議長(辰巳浩司) 丸谷市長。
○市長(丸谷聡子) 上田議員からの再度の御質問でございます。
点数をつけたらというふうな御質問ですけれども、ちょっと点数というのは私自身がつけるものではないと思っております。ただ、今年度のこの決算の予算につきましては、私自身は市長として予算を立てたものではありませんので、執行において、より丁寧に、そして市民の皆さんの財源をしっかり有効に使わせていただくということを肝に銘じて取り組んできましたので、そこはしっかりやってきたということは申し上げられると思いますし、前の議員の質問でもお伝えさせてもらいましたけど、本当に職員一人一人がコスト意識を持って、しっかり取り組んでくれた成果でもあると思っておりますので、今後もしっかり市民の皆さんからの財源、丁寧に施策を進めていきたいと思っておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。