中村しげお議員が一般質問を実施

○議員(中村茂雄)登壇  明石維新の会、中村茂雄でございます。発言通告に従い、1項目2点についてお伺いいたします。
 市役所職場の環境改善と、業務効率化及び市民サービス向上のための自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)の取組についてお伺いいたします。
 令和2年12月、政府において、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針が決定されました。基本計画のビジョンである誰一人取り残さない、人にやさしいデジタル社会を実現するために、令和3年6月に、デジタル社会の実現に向けた重点計画が閣議決定され、現在、計画の重点的な取組である自治体情報システムの統一・標準化や、自治体窓口のDXという取組が各地方自治体で進められております。自治体情報システムの標準化については、令和7年度末までに約1,700の地方自治体全てが基幹業務20業務のシステム移行を完了することが義務づけられており、本市においても、ガバメントクラウドを利用した標準準拠システムへの移行を進める必要があります。
 皆さんも覚えていらっしゃると思いますが、実際、新型コロナウイルス感染症への対応では、国や地方公共団体の基幹業務システムがばらばらであるため、十分に連携体制が取れなく、非効率な手続が余儀なくされ、システムトラブルも発生し、世の中は混乱いたしました。DX事業を進める中での最大の効果や、標準準拠システム完全移行後において、オンライン申請の推進も含め、デジタルを前提とした業務改革を通じて、書かない、待たない、迷わない、行かない窓口など、各自治体の創意工夫でフロントヤード(自治体窓口)の改革を進めることが求められております。短期的だけではなく、10年、20年と中長期的な視点において、未来どのような行政サービスが必要となるのか、また、求められるかを想定した自治体のDX化でなければなりません。
 そこで、1点目のDXの活用についてお伺いいたします。オンライン申請時の自治体DXを進める中で、令和7年度末の標準準拠システムへの移行なども予定されていますが、DXの活用により、本市の行政や、特に市民生活にどう生かしていくのか、自治体行政でのDX、地域社会におけるDXをどのように進めていくのか。DXを進めることは、将来の行政運営においては、属人化の解消や業務の見直しによる効率化にもつながると考えておりますが、本市におけるDX推進のビジョンについて見解を問います。
 2点目であります。市民視点における中長期的な行政サービスの実現についてお伺いいたします。行政手続のオンライン化が進むことにより、市民が自ら市役所へ足を運ばなくともオンライン申請ができ、特に子育て層をはじめ、仕事の関係上、窓口等へ足を運ぶことが困難な共働き世代や多くの市民の利便性が期待できます。
 本市では、オンライン申請で申請が可能な手続を令和7年度までに200手続以上に拡大する目標を立て、業務に取り組んでおられ、今年の4月からは、国の運用するオンライン申請サービス(マイナポータル)に対応したため、児童手当を含む24手続が開始されております。将来的には、多様な窓口の実現、マイナンバーカードの利活用推進なども進んでいけば、現業務に関わる人材を真に必要とされる職場へも配置でき、より充実した市民サービスの向上につながると思われます。
 現在、行政手続オンライン化はどこまで進み、市民が利用できるサービスへとつながっているのか。また、市民にどのように周知をしていくのか。現段階の進捗状況について見解を問います。
 以上2点について、明確な答弁をどうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(灰野修平)    原田総務局長。
○総務局長(原田浩行)登壇  総務局長でございます。
 御質問の自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)について、順次お答え申し上げます。
 まず、1点目のDXの活用につきましては、本市においては現在、市民にやさしいインクルーシブなDXをキーワードに、明石市行政DX推進方針に基づき、デジタル技術の活用で行政サービスをより便利に、より早く市民に提供すること、また、業務の効率化を図り、人的資源を市民に寄り添った仕事にシフトすることを目標としているところでございます。
 そのための取組といたしまして、市民サービスへのDXの活用については、市役所に来なくてもスマートフォン等で申請ができる行政手続のオンライン化や住民票等のコンビニ交付をはじめ、粗大ごみのインターネット受付や公立保育所におけるICTツールの導入など、市民の負担軽減や利便性向上のための取組を進めているところでございます。さらに、今後、窓口での手数料支払いのキャッシュレス化や、市役所に来庁された方が様々な申請書を書く手間を省く、書かない窓口の実現に向け検討を進めるなど、DXの活用によるさらなる市民サービスの向上を目指しているところでございます。
 また、行政運営のDXの活用につきましては、例えば、従来型の紙媒体中心からデジタル技術を中心とした業務スタイルに置き換えるため、文書管理・電子決裁システムの今年度中の導入を進めているほか、業務の効率化のために、パソコン上の作業を自動化するRPAというツールやAIが音声を自動的に認識して文字に変換するツールの活用、さらに今後、生成AIであるChatGPTの業務への活用などの検討を進めているところでございます。
 また、情報システムの標準化・共通化につきましては、標準準拠システムに移行することにより、制度改正等に伴うシステム改修の効率化やオンライン申請等のデジタル基盤が構築されるなどの効果が国において示されているところでございますが、一方で、システムの移行・運用に要する経費が多額になることや、移行期間が集中することによるシステム事業者の人員体制不足などの課題が全国の自治体から指摘されており、国による財政措置の拡充や移行期間の見直しなど、市長会を通じて国に対して要望を行っているところでございます。
 これらのDXの推進により、将来的に業務の属人化の解消や効率化などにつなげることで、人的資源を多様化・複雑化する市民ニーズや地域課題への対応など、真に必要性の高い施策に重点的に配分して実施できるよう、持続可能な行政運営を目指しているところでございます。
 続きまして、2点目の市民視点に立った行政サービスの実現につきまして、行政手続のオンライン化は、自宅や職場から24時間いつでもパソコンやスマートフォンなどを使って申請ができるなど、子育て層をはじめ多くの市民にとって利便性向上に効果があり、さらに、中長期的には、行かなくていい窓口、待たなくていい窓口など、多様な窓口改革につながるものと考えております。
 本市におきましても、昨年4月には児童手当や要介護認定などの申請など、子育て・介護関係の24手続を国の運用するオンライン申請サービスであるマイナポータルに対応したことをはじめ、同年10月には、専門的なICTスキルがなくても、職員がオンライン申請のフォームを作成できる新たな電子申請システムを導入し、例えば、こども医療費関係の申請やマイナンバーカードの受け取り予約など、各部署で様々な手続のオンライン化に取り組んでいるところでございます。
 手続オンライン化の進捗状況につきましては、令和7年度末までに200手続以上拡大するということを目指し、取組を進めてまいりましたが、今年度、若手職員を中心としたデジタル推進員をはじめ、全庁挙げて積極的に推進した結果、今年度末には約200手続がオンラインで利用できるようになる予定でございまして、2年前倒しで目標が達成する見込みでございます。今後、本市の様々な行政手続につきまして、オンラインで利用できるサービスをさらに拡大するとともに、ホームページや広報紙での周知をはじめ、オンラインで申請できる手続の一覧をインターネットの同一ページに集約するなど、より市民の皆様が利用しやすくなるよう、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○副議長(灰野修平)    中村議員。
○議員(中村茂雄)    2点について御答弁いただきましたので、ここで再質問させていただきます。
 1点目の答弁で、今後のDXの活用について、行政では業務の効率化を図り、人的資源、すなわち職員を真に必要性の高い施策に重点的に配分し、持続可能な行政運営を目指すというふうに御答弁いただきましたが、これはまさしく、以前、私が9月の議会で質問いたしました市政運営及び人事行政へと直結いたします。人口比率でいえば、兵庫県の中でも最も少ない職員数であると言われている中、DXによる市民サービスの向上を進めていくためには、それを支える職員側の体制づくりや民間デジタルサービスの導入が欠かせません。新しいデジタル技術を使って効率化を進めていく。そのために予算を配分し、DXが成功するためにしっかりと投資をしていく必要がございます。将来、システム運用における維持費や保守費用、そして、予算措置のそういうものも含め、どのように見据え、事業を展開していくのか、本市の見解をお聞かせください。
○副議長(灰野修平)    原田総務局長。
○総務局長(原田浩行)    総務局長でございます。
 中村議員の2回目の質問にお答え申し上げます。
 DXを成功させるためには、その前提といたしまして、デジタル技術により、職員が効率的に仕事を行う、また、その実力を発揮しやすい環境をつくっていくことやデジタルDXを推進していくためにはデジタル人材の充実が必要だというふうに考えております。これからも、DXによる業務効率化やシステム運用に係る経費などにつきましては、必要な予算を確保していきたいというふうに考えておりますし、各職場で中心となってデジタル化を進めていくデジタル推進員の育成など、人的な資源への投資もしっかりとやっていきたいというふうに考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○副議長(灰野修平)    中村議員。
○議員(中村茂雄)    今、小中学校で生徒全員が使用しているタブレット、これは、補助金はありましたが、5年リースで約6億3,000万円かかっています。行政におけるDX化においては、システム移行、そして、運用に要する経費、維持、保守など、様々な大きな費用がかかると思われますので、そのあたりはしっかり国の動向も注視しながら、業務改善とサービスの向上となるよう努めていただきたいと思っております。
 それでは、2点目について再質問いたします。本市において、既に児童手当を含む24の手続が国の運用するオンラインサービスに対応し、全庁挙げ、職員の皆さんが取り組まれた結果、2年前倒しの今年度末には200の手続が対応可能になるというふうにお聞きしております。このように、今後、全庁的に手続のオンライン化が進んでいくことで、将来的には回答いただいた、行かなくていい窓口や待たなくていい窓口の改革へもつながり、業務のスリム化と環境整備が整い、限られた人数の人的資源、すなわち職員が真に必要性の高い政策へ配分される可能性も十分にあり、よりよい市民サービスへとつながるということでよろしいでしょうか。
○副議長(灰野修平)    原田総務局長。
○総務局長(原田浩行)    総務局長でございます。
 その点につきましては、本市のDX推進方針におきまして、本市のDXを目指すべき姿に掲げているところでございまして、しっかりとした取組を進めてまいりたいというふうに考えます。手続のオンライン化につきましては、将来的には、先ほど答弁申し上げたとおり、行かなくていい窓口であるとか、待たなくていい窓口など多様な窓口改革にもつながっていくというふうに考えております。実際、電子申請が進んでいくと、具体的に我々の業務等がどう変わっていくかというところを考えたときに、今現在、紙の申請書でやり取りしている場合は、これまで市民から問合せがあれば、役所のほうから申請書を紙で郵送しまして、記入された申請書が市民から返送されてくるというプロセスを経ていたものが、これがオンライン申請に変わりますと、リアルタイムに申請データが役所のほうにその場で届くために、スピーディーな市民サービスの提供や郵送等に係る職員の事務の手間の軽減にもつながるものと考えております。
 さらに、オンライン申請であれば、市民の方が入力する際に事前に一定のチェック機能が働くために、記入漏れや添付漏れが防げること、また、受け付けた申請情報が電子化、既にされておりますために、職員による再入力といった事務作業がその部分も軽減されますので、行政運営の簡素化、効率化の観点から、様々な効果が生まれてくるというふうに思っております。
 一方で、制度上、対面、書面で行う必要性のある手続や、申請の際に相談を受けながら行う手続など、オンライン化になじまないような事務も残っていることから、オンライン申請の申請情報を効率的に業務システムに取り組むためには、それぞれシステムに応じた改修や運用体制の見直し等が必要であるなど一定の課題がまだ依然として残っているところでございます。
 今後におきましても、市の手続のオンライン化に向けてしっかりとした取組を進めてまいるとともに、DXを推進することで、持続可能な行政運営とよりよい市民サービスにつなげていくことを目指しておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○議長(尾倉あき子)    中村議員。
○議員(中村茂雄)    行政運営の簡素化・効率化を進める結果、何よりも市民の方が利用しやすいサービスへとなるようにしなければなりませんので、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 それでは、引き続き再質問いたします。DX化を長期的な将来視点で見た際に、実際の行政業務における複雑さも解消されていくというふうに、先ほども答弁ありましたとおり、思います。今、利用開始しているDX業務において、一時的に業務量が多くなって、多少煩雑化してしまっていることも、こちら分かっております。ペーパーレス化も進む中でのDX化でありますが、デジタル社会の実現に向け、業務を効率化するため、全てをデータ化した場合、業務効率が下がる可能性もあると思われますので、業務内容についてもしっかりと精査し、取り組んでいただきたいと思っております。
 2点目の市民視点における行政サービスにおいても、先ほども言われました、行かなくていい窓口、待たなくていい窓口のためにオンライン化に取り組むというふうにございました。DX化を進めるに当たり、本市では、誰一人取り残さないまちづくりを基本理念として市政運営をするのであれば、デジタルに精通していない高齢者世代の掘り起こし、すなわち底上げでございます。
 2020年でのスマートフォン、従来型のガラケー、携帯電話ですね、年齢層別の利用率ですけども、ガラケーは利用率15.1%、スマートフォンは92.7%の利用率がございます。60代から79歳代でも84.7%がスマートフォンを現在利用しているそうです。これからは、スマートフォン等で申請できる行政サービスの手法など、高齢者にもデジタル社会に追いついてもらえるよう、行政としても力を入れていかなければ、本当の意味でのデジタル化、誰一人取り残さないまちづくりにつながらないのではないかと考えております。オンライン化を進める200の手続の中で、市民生活が便利になる申請システムが構築されれば、その都度、しっかり市民へ周知していただきたい。その周知の方法としても、市のホームページにアップしましたとか、広報紙に掲載していますだけでは、市のホームページを見ない人もいます。広報紙を取っていない人には伝わらず、行かなくていい窓口、待たなくていい窓口、利用したい共働きの方や高齢者の方への周知にはなりません。特に高齢者の方には、市の施設等への案内はもちろん、デジタルに精通していない方もサービスを利用できるよう、底上げ、これを積極的に行わなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○副議長(灰野修平)    原田総務局長。
○総務局長(原田浩行)    総務局長でございます。
 現在進めております手続のオンライン化の市民の皆様への周知に関しましては、広報紙やホームページ等での周知と併せまして、手続に関する通知を送る際に、通知文書の中で案内するとともに、イベントの申込みであれば、チラシ等を施設に置くなど、丁寧な周知に努めてまいりたいというふうに考えております。また、社会全体のデジタル化が進む中で、高齢者の方などのデジタル機器が苦手な方が取り残されないようにする、いわゆるデジタルデバイド対策につきましては、誰一人取り残さないデジタル社会を実現する上で、国のDX推進計画においても重要な取組事項と位置づけられているところでございます。
 本市におきましても、国や県の制度を活用しまして、デジタルデバイド対策といたしまして、シルバー向けのスマホ教室を開催いたしまして、昨年度は実績といたしまして約100名、今年度は約350名の方が参加されるなど、市民にやさしいDXに向けてしっかりと取組をしているところでございますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。